親も子もつながっているから安心




 

 厳しい寒さに庭の桜も球根も花を咲かせるかと心配していましたが、春の陽気に桜は満開となり、木蓮、チューリップ、パンジー、水仙が、一斉に花開き甘い香りを漂わせています。しかし、ここ数日の急な冷え込みで満開の桜が散り急ぎ、子ども達の登園まで桜がもつか、はらはらしながら見上げています。
 
 お子さまのご入園、ご進級を心からお喜び申し上げます。
 
 2016年度より幼稚園は認定こども園に移行しました。認定こども園は少子化の進む中、子育ての不安を抱える保護者に、保育費用負担軽減、子育て支援として「幼稚園」機能と「保育園」機能をあわせ持つ園のことです。主たる変更点は「預かり保育」を充実させることで、幼稚園入園を希望されても保育時間等の問題で入園を見送っていた保護者の方にも、利用いただけるように最長で11時間保育を行います。
 
 
 
 幼稚園がはじまり保育室はてんやわんやです。お母さんの手をぎゅっとにぎって「行かないで」というメッセージを体中で表している子が、なじみのある汽車のおもちゃや、かわいいぬいぐるみの人形がきっかけになって遊びだしたりします。しかし、タイミングよくお母さんと別れたと思った子が、急に泣きだしお母さんを探しに玄関に駆け出し、お母さんの姿がないのが分かると、大泣きすることもあります。
 
 私の長女の入園のときも、どうしても気持ちが立て直せずに、泣き続けるわが子の姿をそば見ていると「私のほうが泣きたい!」と叫びたくなったことがあります。あの手この手を尽くしても駄目で、周りにいる親子がみんな、なごやかな笑顔で別れているのに「ああ、もう!」という気持ちになって落ち込んでいました。その時、「うちの子もそうだった。なつかしいなぁ。大丈夫いっときだから」と先輩のお母さんの優しい一言に涙がこぼれそうだったことを覚えています。今はとてもそう思えないけれど、大変だと思えるこの道は、みんなが通る道、通り過ぎたら懐かしくなるかもしれない道と考えると少し心が軽くなります。
 
 
 お母さんとつながっているという安心感をもとにして、子どもたちは一歩をふみだしてますが、ほんのちょっとのことでくずれてしまうくらいにどの子どもも心が揺れています。子どもの初めの一歩は一様ではありません。一人ひとりの今を大切に受け止めながら、自分らしい一歩をゆっくり踏み出していかれるように支えていきたいと思います。

 
ケンカは育ちのチャンス
 
 大人が頭ごなしに「仲良くしなさい」と教え込むと、一見その通りにするかもしれませんが、本当に理解してやっているわけではないのです。だから、大人の力でコントロ−ルされて育った子は、その抑えている力が弱くなったり、なくなったりすると、“まさか”という行動にでることがあります。自分の力で気持ちをコントロールする力が育っていないからです。本当の意味で周りの友だちと関係を作っていくためには、友だちとぶつかり合い、理解しあい、自分たちで考え解決する経験が必要なのです。子どもたちは、友だちと一緒に過ごしていく中で物の取り合いや、思いの生き違いを経験します。そして、とても嫌な思いや悲しい気持ちを味わいます。でもそんな中でやっぱり友だちと楽しく遊びたいから、今度はどうしたらそんな思いをしないで済むか考えます。
 
 そんな育ちのチャンスを考えずに、大人が一方的に「ケンカはやめなさい!」「ごめんなさいは?」と解決し、思ってもいないのに「ごめんなさい!」を無理やり言わせてケンカを終わりにしてしまうのは、育ちのチャンスを無駄にしていることなのです。

 
子どもは自分でコントロールする力を身につける
 
 友だちとの気持ちのぶつかり合いや葛藤が起きた後には、保育者が「どうしてそうなったの?」「〇〇ちゃんはどんな気持ちだったの」ということを尋ねながら、双方の思いに丁寧に関わることで、子どもは相手の気持ちを理解したり、自分の気持ちを伝えたり、どうしたらお互いにとっていいのかを考えることができるようになります。
 
 相手の気持ちに気づき、自分の思いを伝えるうちに、お互いが分かりあい、折り合いをつけることが出来るようになります。自分の思いを伝え、分かりあい、トラブルを解決することができた経験は、喜びや自信となって、感情や行動を少しずつコントロール出来るようになっていくのです。年長組になるころには、トラブルが起きても、その場にいた友だちが間に入って、それぞれの気持ちを聞いてあげたり、周りの友だちがみんなで話し合ってまとめたり、問題を解決したりするようになります。

 
小さなケガが子どもの身を守る
 
 子どもがケガをすると、「そばにいたのに・・・」「防げたかもしれなかったのに・・・」と親は子どもの痛がっている姿を見ながら胸が痛むものです。大きなケガならなおさら自分の不注意に落ちこんでしまうものです。ケガをさせないように「あぶない!あぶない!」を繰り返し、「危ないからダメ!」と子どもの行動を制限してしまうと、子どもが本来持っている危険を察知する能力や、自分の身を守る力が育たなくなります。そして、守ってくれる大人がいないと大きなケガをしてしまうのです。
 
 子どもの身体は柔軟性があり、回復力があります。身体を動かすのがすきな子どもは、つま図いたり、すべったり、ころんだりしてよく擦り傷や切り傷を作ります。特に冒険心のある子は身体を動かしながら、いろんなことにチャレンジしています。できるようになると更に難しいことに挑戦しようとします。そうやって身のこなしを体得し、どんどん身体能力を高めています。私たちは子ども達のチャレンジしようとする心を大切にしたいと思います。

 
幼児期の育ちは基礎工事だから見えにくいもの
 
 幼児期の教育は土台作り、基礎工事の時代です。土台がなかったり、しっかりしていない家はグラグラして不安定だったり、ちょっとしたことで倒れてしまいます。でも土台がしっかりしていれば、強風が吹いても地震が来ても、なんとかもちこたえることができます。人間も同じだと思います。では人の土台とはなんでしょうか。
 
乳幼児期はひと言でいうと、人を信じることと、自分を信じることの基礎作りの時期だと思います。
 
 いま、私たちの周りにはさまざまな情報が溢れています。子育てにおいても何が子どもにとって良いのか分からなくなります。
 
金沢の幼稚園においても、一斉に逆立ちをして歩いたり、計算をしたり、漢字や俳句を読んだり、英語で保育をしたりなど、さまざまな保育がされています。お母さんたちは幼稚園選びで保育を見て回り、最終的に何がよいのかわからないと話されます。
 
「〇〇ができる」ということは目に見えることなので、子どもが成長していると思ってしまうかもしれませんが、幼児期に育ってほしいことは『その子らしさ』を大切に援助していきたいと思います。子どもが主人公であるためには、大人も安心して、自分自身を出せることが大切で、子どもを大切に育てるということは、大人が自分を大切にして生きることなのです。親子のつながりが子どもを支えているように、お母さん同士がつながったらきっと安心です。これからの一年、子どもといっしょに幼稚園に通いながら、お母さん同士もつながっていってほしいと願っています。
 
 2016年度も教職員がしっかりティームを組んで、楽しい幼稚園生活ができますようにと祈り、努力して参りますので、保護者の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。


2016・4・8 園長 近藤瑠美子  

  
 







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