みんなが寄り添って

 

 猛暑の夏が過ぎて、朝夕に涼しさを感ずるようになったと思ったら、秋が駆け足でやってきました。しかし、秋とは名ばかりで梅雨のような長雨が続き
その上、台風の縦断で関東、東北地方が記録的な豪雨となり、尊い命が奪われ、今も多くの人たちが不安の中におられます。
一日も早い復興を願わずにはおられません。



 豪雨の翌日に『おじいちゃんおばあちゃんを迎える会』が行われ県外からも沢山の参加がありました。その朝には、東京の調布市を震源とする大きな
地震が起き.数日後には、桜島で噴火がおきました。日本列島に何が起こっているのだろうと不安になっているのは私ばかりではないと思います。



私事ですが、先の大雨では茨城県にいる長女のことを、地震では震源地の調布にいる三女のことが心配でバタバタする日が続きました。ニュースをみて
大慌てで長女に連絡をすると、「大丈夫です。警報がでて、放送が鳴り響いて、頭上にはヘリが隊列を組んでとんでいます。3・11を思い出します。
同じ市内でも避難している人がいますが、紙一重でした。マンションなのでこういうとき管理人さんがいるから助かります。」


「うーん?主人じゃなくって、管理人さん? あーそうか。出張中の主人より、常駐の管理人さんのほうが頼りになるってこと!」妙に納得してしまいました。

一方、調布の娘からは「大丈夫です。ガラスのコップが割れた程度です。空はヘリだらけです。」とのメールをもらって、一安心しました。

おじいちゃんおばあちゃんの会に参加された方の中にも、地震で大変な思いをされた方がおられると聞きましたが、自然の猛威の前では人間は無力なことを
改めて知るときとなりました。




おじいちゃんの会のあった日の午後は、以前勤めていた北陸学院の創立130周年記念式典があり、星野富弘さんの記念講演があるので出かけました。

星野富弘さんをご存知の方も多いと思いますが、星野さんは小さいころから運動神経が抜群で、いろいろな記録を持っておられたそうです。
中学の体育教師に就任し、二ヵ月後、空中回転の指導中に頚椎を損傷し、手足の自由を失われて首から下が動かなくなりました。長い入院生活中に
口に筆をくわえて草花の絵に詩を添えて描くようになり、現在も詩画作家として多くの詩画集や随筆、対談集を発表されておられます。


最近、星野富弘さんと日野原重明さん(104歳現役医師)のいのちの対談「たった一度の人生を精一杯輝いて生きる」と言う本を読んでいたので、星野さんの
講演を楽しみにしていましたが、当日は体調不良で、星野富弘美術館館長が代理で講演をされました。この時期の星野さんの体調管理が大変なようです。
帰宅し詩画集をパラパラとめくっていると星野さんが頚椎を損傷し、絶望した当時の作品に目が留まりました。

        

        私がどんなに絶望しようが

        どんなに生きたくないと思おうが、

        いのちというものが

        一生懸命生きようとしている       星野富弘

 

 

        いのちというのは、

        自分だけのものではなくて、

        だれかのために仕えてこそ

        ほんとうのいのちではないだろうか     星野富弘



 星野富弘さんは怪我をして、自分で呼吸ができなくなって人工呼吸器で生きていた時、生きる張り合いがなくなって、もういつ死んだっていいやと舌を
かみ切ろうと思ったり、何日も食べないでいたりしたそうです。自分で死ぬこともできないことに絶望し、食べないつもりでいたのに、何日かたつと食べたくて
仕方なくなり、自分がどんなに絶望していても脈をはかると動いていることに気付かされたそうです。そして、キリスト教に出会い失った時より、大きなものを
得た星野富弘さんは次のように語っておられます。




       自分のためだけに生きようとした時には

       本当の意味のいのちを生かしているのではなく

       自分のやっていることが他の人に喜んでいただけた時

       いのちがいちばん躍動している

       いのちというのは自分じゃなくって

       誰かのために使えてこそ

       ほんとうのいのちではないか。 

 


 星野さんの詩画は読む人の心を温かくし、後ろから後押しされた力が湧いてくる作品で、私は枕元に置いて時々読んでいます。


 私は幼稚園も子どもたちにとって心の痛みを癒す場所や空間があり、そんな人に出会う場所なのではないかと思っています。

 「誰も遊んでくれない。」と怒っている4歳児のHちゃんに「そーなんだ。そんな時、あのブランコに乗ったらいいよ。」と教えてくれるお姉さんがいます。
年長児のAさんは自分も同じ寂しさを味わったことがあり、その時に自分の心を立ち直らせるために、ブランコにのっていたのだと思います。同じ気持ちに
なった言葉はスーツと相手に伝わっていきます。




  『思いやり』とは『思いを寄せること』です。そのためには、さまざまな体験をしていることが必要です。嬉しいこともあれば辛いことも、そのような体験の
積み重ねだからこそ『相手に思いを寄せること』ができるのです。


お互いに親しさが増してくるこの時期の子どもは、幼稚園で自分の好きな友だちと、好きなことをして、自分らしく過ごしています。そのさまざまな体験の
どれも欠くことのできない大切体験です。


 一人ひとりの子どもが自分らしく過ごせるように丁寧に『寄り添って』いきたいと思います。  



               



2015・9・18

 

 









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