子ども達の登園を待ちきれないかのように、幼稚園の桜が開花しました。
玄関先を見ると桜の花がたくさん落ちているので、『もう散っている。
子ども達が登園するまで、散り急がないで!』と思いながら桜を見上げると、小鳥が桜をくちばしで手折っていました。

『ちょっと、お花を折らないでよ。もうすぐ、子ども達が来るから。』
と大きな声で小鳥に話しかけても、小鳥はまったく気にせず、せっせと花をついばんでいました。
たくさんお花が咲いているので、少しだけ小鳥たちに譲ってあげることにして、始園の準備をすることにしました。



 いよいよ、2013年度がスタートしました。お子さまのご入園、ご進級を心からお喜び申し上げます。
進級の子ども達は新しいクラス、先生、友だち、遊びに夢を膨らませ、4月を迎えたことと思います。

 新入園の子ども達は慣らし保育で幼稚園に少しずつ慣れてきましたが、お母さんと別れるとなると
『ママ、お家に帰りたい!』と帰るコールが出る子もいると思います。
そして、初めての幼稚園生活を迎える子どもの姿に、この子は幼稚園で大丈夫かな、遊べるかな、困ったとき先生に言えるかな
喧嘩しないかな、トイレにいけるかななど、お母さんは不安がいっぱいで後ろ髪を引かれる思いで幼稚園から帰っておられるのではないかと思います。



この季節になると、私は10数年前のことを思い出します。
当時、金沢市では『町に桜を植えよう』という運動をしていました。
ちょうど、園庭の入り口にある老木のことを心配していたこともあり、私も園庭に桜の木を植えようと思いました。
それも花の形が違い、開花時期も違う菊桜、しだれ桜、十月桜、ソメイヨシノを植えて、子ども達と花を楽しみたいと思いました。

 しかし、届いた桜は1メートルも満たない貧弱な木というより枝というようなものでしたから
「本当に育つのか、花を咲かせるのか」と半信半疑な思いでしたが、とりあえず、穴を掘り肥料をやり、お庭に6本の桜の木を植えました。

 あれから長い年月が流れ、その桜は園庭で遊ぶ子どもたちと同じように、ゆっくり成長し、太い幹となり、枝を張り、花を咲かせるようになりました。
桜の木が美しい花を咲かせ葉を茂らせるには、しっかりした根っこや太い幹や葉を育てることが大切です。
木の育ちを見ていると子育てに似ているように思います。

 子どもが自分の力で生きていけるようになるためには、幼児期にその子の根っこを育てることが、大人になったときその子らしく
素敵な花を咲かせることができるようになるからです。



 十数年前と今では子どもの日常生活が激変しました。
子どもは外で遊ばなくなり、部屋でゲームをしたり、テレビやパソコンで遊ぶことが多くなりました。
そして、それと比例して子どもの歩行歩数が減り、足は危うい状態、つまり弱くなっているといわれています。
本来こどもの体は手足を使って遊ぶことにより、体力がついて、感性、知性、社会性など、心と体がいっしょに刺激しあい豊かに育っていくと思います。

『子育ては親育て』といわれますが、子どもも親も育ちあう幼稚園時代は人生の中でとても豊かで楽しいときです。
子育ての様々な状況に対して、親としての自分がどう受け止め、対処するか、その場その場で考えてやるしかありません。
子育ての問題は自分自身のの生き方が問われているといえると思います。

親が子育てをするときの喜びには、子どもに“期待できる喜び”と“子どもを幸せにすることができる喜び”があると思います。
できるなら、私は“子どもを幸せにできる喜び”のほうをずっと大きくもって、“子どもに期待する喜び”のほうは小さくしていきたいと思います。
将来幸せになるために今のときを過ごすのではなく、いまのこの瞬間を、この子が幸せに過ごすことができるようにという子育てのほうを私は願っています。



 保育の先駆者である倉橋惣三先生は『教えない教育』という論文を書かれていますが、

  【教育の中には教える教育、間接に教える教育、教えない教育がある。その三つ目の教育とは、子どもが知らず知らずに習慣付けられる教育だ】

 と述べています。

 これは一般に言われる躾のことですが、子どもは生活や遊びの中で経験として学んでいくと思います。
より良く、より早くと他人との比較に急ぐ、ナンバーワンを求めての子育てではなく、今の子どものこの時を大切に、かけがえのないオンリーワンで
あることを子ども達に伝えていきたいと思います。


 愛された自信は本物の信頼と安心感を育ててくれ、いきいきと子どもらしく育つ自信へとつながると思います。
子どもの成長を願う親たちが自分の思いのみにとらわれず、支えあい、互いに感謝することのできる幼稚園でありたいと思います。
一人ひとりができるとき、できる小さな
『働き』をするために、私たち一人ひとりが、まず自己コントロールできる大人として
成長していけるようにと願っています。
今年度も、どうぞ宜しくお願いします。



                                                 2013・4・8     近藤瑠美子







TOP→ 

メール はこちらから→
園長のつぶやきブログ版 はこちらから→