幼稚園は、そろそろ今年度のまとめの時を迎えようとしています。
子どもたち一人一人がいろいろな活動や体験を通して、自信をつけたことをうれしく思います。


幼稚園生活が残り少なくなったゆり組さんは、みんなでお別れの会を企画し、卒園までの時を楽しんでいます。
また、すみれ、ばら、たんぽぽのクラスでは進級に向けての準備が行われています。
親にとって、子供の成長は嬉しいものですが、新しい環境に一歩踏み出すときには不安や緊張が伴ってきます。
保育参観や懇談をしながら子どもの成長やこれからの課題について話し合い、保護者の方々の不安が少しでも解消し、
子育てを共に喜ぶことができればと願っています。


 そして、春の入園を心待ちしている、新入園児のための慣らし保育が始まりました。
未就園の集い「たんぽぽクラブ」の最初のころは、自分で歩かずに抱っこされたり
泣きながらの登園だった子どもたちも、今はもうすっかり慣れ「せんせい、おはよう」と幼稚園目指して走ってやってきています。
子どもたちの姿にお母さんから少し離れても大丈夫という自信さえ伺われ、心配そうにしていたお母さんたちも
少しずつ信頼のまなざしで子どもたちを送り出しているようです。

幼稚園は子どもにとってもちろん楽しい所ですが、お母さんたちも「たんぽぽクラブ」に来ているうちに
お友達ができて楽しい所になっているようです。



子育ては喜びと同時に幸せなときです。
しかしながら、1日中子どもと顔を突き合わせて過ごしていると、息詰まった気持ちなったりするのも現実です。
いま、子育て真只中のお母さんたちが頑張っておられる姿を見ていると、社会から閉鎖され自分の時間や空間がないことに
耐えられない思いになっていた、私の子育て時代を思い出します。

しかし、長い歳月がたった今は、大変だった思い出より楽しかった思い出のほうがたくさん残っており、
子育て中の苦労は自分を大きく成長させる経験でもあったように思います。 





少子高齢化になって次の時代を担うためには、子どもを産み育てやすい社会づくりを行おうという気運が高まり
子育て支援の重要性が叫ばれるようになってきました。

支援とは負担を軽減し、自信を深めるために行われるのが本来の姿といえると思います。


幼稚園の子育て支援は次の三つの点から考えています。
一つは子どもが育つための支援です。
二つ目は親(保護者)が育つための支援です。
三つ目は学校や保育所、公民館や関係機関など、地域の子育てネットワークや子育て環境が育つための支援です。



 「親支援」と「子ども支援」はどのように区別すればいいのでしょうか?

私は「親支援」は親の負担を軽減するために行われる支援であり、
「子ども支援」は子どもに喜びを与えたり、成長を促すために行われる支援であると思っています。
その見分け方を極めて独断で言うと、親の手間が減るものが「親支援」、増えるものが「子ども支援」と考えています。

給食の導入は親の手間が減るから「親支援」、最近盛んに言われている食育は
全体に親の手間を増やすものなので「子ども支援」です。
畑チームのお母さんたちの野菜作りや、稲栽培、絵本チームの絵本の修理や管理作業など
馬場幼稚園のお母様方の委員会、実行委員活動は、まさに「子ども支援」であると思います。

 また、保育参観や運動会、クリスマスなどの行事参加も子ども支援ですが、子ども支援をすれば
子育ての負担感が増大され、行事を増やさないのが親支援なのかもしれません。
親の立場から考えると、余裕があるときは子どもの行事への参加はとても楽しみになり
親のエネルギーが枯渇しているときは、行事等の参加は苦痛なのかも知れないと思うと
「子ども支援」は親の心持次第で違ってくるのかもしれません。

 

未就園児のための会をしながら、最近思うことがあります。
新しいお母さんは
会に参加して親子で楽しもうとされておられますが、おやつの準備、片付けを
みんなで手伝うという雰囲気が減って、「受けること」「してもらうこと」が当然のようになっているように感ずるからです。
それどころか「うちの子にないのでも持ってきてください!」と、自分は動かないで働いている人に要求したりします。

園長たちが集まって話題になるのが、お母さんたちの協力が得られなくなったことや
常識と思っていたことがどんどん薄れてきたということです。
「これから大丈夫かしら」と不安な思いになっているのは私一人ではないと思います

確かに、子育て真只中のお母さんにはゆとりがないかもしれませんが、子育ては一人ではいろいろと困難なことがあります。
人と出会いみんなが少しずつ助けあい、協力や応援のなかで子どもも親も前向きに過ごしていくことができるのではないかと思います。




そんなことを思っているときに、お引越しされたお母さんからハガキをいただきました。

「ブログをちょくちょく拝見しています。子どもも私も幼稚園が懐かしい感じです。
 子どものことで迷うと、『るみ子先生ならこんな時なんておっしゃるかしら』と考えたりしちゃいます。
 引越ししても『加賀ゆびぬき』を作っています。
 作品展に出品しますので、先生時間がありましたらのぞいてください。」
 との言葉をそえてDMを送っていただきました。

口うるさかった私に付き合って3人の子育てをされたKさんは、子どもたちのためと、幼稚園のいろんなことを手伝ってくださいました。
手作りの布おもちゃ、クリスマスの衣装、新入園児用の手作り用品の型紙作りなど、
「私にできることがあったら言ってください」と言ってたくさんのものを作ってくださいました。

卒園した後も、Kさんは同じ考えの人たちと手作り品を持ち寄り、ガレージセールを開かれ
幼稚園で出会った交わりの輪を大事にしておられましたが、収益の1部を子どもたちのためにと
幼稚園に持ってこられ、感動したことを忘れることができません。



わが子の子育てが、みんなの子どものために、それが小学校や地域の子どものためにと活動をひろげられ
引越しした後も「加賀ゆびぬき」を通して、この地を愛し続けておられる姿に心が温かくなります。


馬場幼稚園の先輩お母さんたちが大切に残してしてくれた「できる人が、できる時に、できる事を」という支えあいの精神が
年長組のお母様達からゆっくり、小さなクラスのお母様方に受け継がれていることをうれしく感じます

「加賀ゆびぬき」のDMを見ながら、懐かしくいろんなことがよみがえってきました。
春になったらKさんに会うために21世紀美術館に出かけてみようと思います。


 そして、春

日本は豊かです。
しかし、豊かになるために、失ったものも多いのではないかと思います。
一番大事なことは、どこに住んでも、どんなことがあろうとも、家族は心を合わせてわが子を愛し、認めて、
お互いに育ちあうものと信じてともに過ごすことではないでしょうか。

 親も子どもに教えられ、子どもは親の背中を見て、信じていく「力」をいただくのだと思います。
その力の源は神様の愛にあると思います。
神様の愛を信じて喜びの季節を待ち望みたいと思います。

                                                   近藤瑠美子  (2011.2.15)

  


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